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"世界の野球"日本人監督の挑戦 「現地人指導者の権威と権力」

2015年10月26日

文・写真=野中寿人

 インドネシア野球の向上と発展には、インドネシア人の有能な指導者を育成することが最も重要なことと言えましょう。確かに、インドネシアの選手たちに野球教室や指導者講習会を開催することも大切なのですが、数日間の教室を開催し指導を施した後には、「指導の内容がしっかりと伝達ができたのだろうか?」 正直な話、この様な疑問が浮上してきます。

 まず、継続した練習が出来ない野球環境の中、当然のこととして野球教室や指導者講習会の成果を期待することは難しいです。すなわち、野球教室や指導者講習会を行ったという開催側の「自己満足」で終わってしまう傾向が強いということです。継続した練習が行える野球環境については、今後、最大の努力をして作っていかなくてはいけませんが、仮に、現状、週2日の練習が可能な場合においても、野球教室や指導者講習会での指導伝授はしきれないことは明確です。

 であれば、まず、インドネシア人の有能な指導者を育成することを最優先しなければなりません。ましてインドネシアの様な国土が広い場合には尚更のことで、各地方に育成をした有能な現地人の指導者を配置しなければ、インドネシア野球の全体的な底上げは出来ません。総体的な見解として、インドネシアに限らず、野球後進諸国においての野球向上と発展は、有能な現地人の指導者を育成することが第1となります。
 しかし、現状の野球後進諸国の、現地人指導者に多く見られる問題点として「権力と権威の勘違い」が目に映ります。どこの世界においても言えることでしょうが、そもそも権力と権威には大きな違いがあります。インドネシアで見られる現地人指導者の特徴は、権威ではなく、選手たちに強制的な認知や服従の義務を与えて、おさえつけるような支配を施している権力の行使が強いのが特徴となります。

 言うことを聞かせる/聞いてもらえる原理と、聞き入れる/聞き入れてもらえる原理との間において、法則的な関係の進め方や纏め方が重要になり、大切なのは精神的で道徳的、社会的で法的な権威で物事を進め纏めて行かなくてはいけません。
 監督や指導者という立場の者は、多くの経験や多彩な知恵と、統率する立場や重圧などの全てを基として チームを纏め上げて行きます。間違った権力を保持する監督や指導者の統轄する現場には不平や不満も多く、逆に、権威で統括している現場は無駄が少なく規律があり、不平や不満も少ないはずです。

 現地人の監督が、この権力と権威の区別を しっかりと把握しなければ、野球後進諸国の野球向上と発展という未来に立ち向かって行くことは出来ません。 以上の経緯を踏まえ、昨年からインドネシアでは若い世代の現地人指導者育成に力を入れています。特に代表チームに関しては、現地人の次期代表監督の育成を開始しており、今後は、地方州の現地人監督の育成プログラムをも実施して行きます。 この現状の権力と権威の勘違いについては、指導者個々の志向性によるものですが、多かれ少なかれ、インドネシアがソフトボール初動であることや、情報の閉鎖によるズレた成長過程を経てきたことなどが影響を及ぼしています。

日本人監督の挑戦
著者プロフィール
野中 寿人(のなか かずと)
1961年6月6日生。日大三高野球部在学3年の夏に西東京代表にて全国高等学校野球選手権大会に出場。
その後、日本大学体育会硬式野球部へ進学。日本大学では1年の秋から体調を壊し2年間の休部をし、現役野球人生を終える。大学卒業後は、フィリピン、サイパンなどで仕事をし2001年にインドネシアのバリ島へ移住。2004年からバリ島の子供達に野球を教え始め2005年にリトルリーグを発足。2006年にはバリ州代表監督に就任、また、クラブチームを発足。2007年にはインドネシア代表ナショナルチームの監督に就任。2007年のSEAゲームスで銅メダル、2009年のアジアカップで優勝、同年のアジア選手権大会へ出場。その後、インドネシア代表ナショナルチームの監督を辞任し、地方州底上げの為に、東ジャワ州代表監督に就任。2011年のインドネシア国体予選で準優勝、2012年のインドネシア国体前哨戦で優勝、同年のインドネシア国体決勝大会で銅メダル。そして2014年からインドネシア代表ナショナルチームの監督に復帰をし、2015年の東アジアカップで準優勝。

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