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"世界の野球"アジア選手権・日本人監督の挑戦「野球は9回。。。。」

2015年9月25日

文・写真=色川冬馬

 野球後進国では、野球をする為の環境的要因が厳しい上に「実戦経験」を得る事がより難しい。今回の合宿でも、9イニングの実戦経験は一度も出来なかった。合宿自体、投手6人を含む選手16〜18名で行われており実戦は不可能だった。試合に近い状況を幾つも想定し、何度も繰り返してきたが、本番の雰囲気や不意にくる集中力の欠如までは再現できない。野球は9回という当たり前の様な話が、大きな壁としてアジア選手権では立ちはだかった。

 初戦のインドネシア戦、リードを許す事はなかったものの、苦しい勝利だった。実戦経験が乏しいと、力の入れどこや我慢のしどこが分からないからだ。改めて、パキスタン野球の実践(自分たちの野球)をする難しさを痛感した試合だった。それでもなお、初戦を勝利で飾り、残り試合でパキスタン野球の理想へ近づける希望はあった。

 2戦目の日本戦、試合は序盤まで3回2失点と、上出来の滑り出しだった。守備では、3ベースを許すも、次の打者を内野ゴロに打ち取りホームで刺すなど、パキスタン野球の進化を見せつけるかの様に進んでいた。しかし、2回を終え、選手の様子がおかしい。試合に満足する者、全く関係ない話をし始める者がいる。3回、よく話を聞いてみるとコーチが試合に満足し、早く終わろうという雰囲気になっている事に気付いた。「野球は9イニング戦って勝利を得るんだ」と私が何度言おうとも、当然、選手はコーチには逆らえない。一度崩れた雰囲気を取り戻せる事もなく、6回15失点という悲惨な結果で終えた。

 日本では考えられないが、時に正義感、スポーツマンシップ、そしてモラルだけでは語り尽くせないお国ごとの事情がある。時と場、そして人間関係を見極めた上で、問題提議しないと非常に敏感であり、先へ影響を及ぼす危険ゾーンなのだ。これも外国人監督の苦悩であり、以上のリスクを計算に入れた上で、マネジメントをしなければならない。どんなに正当であっても、本気の選手がいる限り、私が自分でコントロール出来ない事で嘆き、歩みを止めてはならない。今ある環境を受け入れ、前へ進み続ける事が私に与えられた仕事なのである。

日本人監督の挑戦
著者プロフィール
色川冬馬(いろかわ とうま)
2015年2月にイスラマバード(パキスタン)で行われた西アジア野球選手権にイラン野球代表監督として、チームを2位へと導く。同大会後、パキスタン代表監督に就任。2015年9月に台湾で行われた「第27回 BFA アジア選手権」では、監督としてパキスタン代表を率いた。

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